ごあいさつ
副院長 泌尿器科
柴田憲彦
私は長年、大学病院や県病院、藤元総合病院などで泌尿器科の検査、診断から治療まで幅広く泌尿器科の診療を行ってきました。また慢性腎不全の治療である人工透析にも関わってまいりました。
日本人の老齢化が今後ますます進んでいくことはマスコミなどで言われているとおりです。したがって診療所という患者さんにより近い立ち位置で、泌尿器科疾患を中心になんでもお気軽に相談していただけるよう努めてまいりたいと存じます。
女性では、40歳を過ぎると、おしっこの回数が増えたり(頻尿)、尿が漏れて下着を汚す(尿失禁)など、おしっこに関するトラブルが多くの人に見られます。→過活動膀胱
恥ずかしいと思っても友達や家族にも相談できず一人で悩んでいる方も多いと思いますが、これも、おくすりでほとんどの症状が改善します。
その他、おしっこに関するお悩みなど、是非お気軽にご相談ください。
副院長 泌尿器科 柴田憲彦
■ 略歴
平成5年3月 | 大分医科大学卒業 (現大分大学医学部) |
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平成5年4月 | 宮崎大学泌尿器科入局 |
平成7年6月 | 宮崎大学泌尿器科 助教 |
平成8年4月 | 福岡市原三信病院 医師 |
平成9年4月 | 鹿児島市新村病院 医師 |
平成10年4月 | 宮崎市市民の森病院 医長 |
平成11年4月 | 宮崎大学泌尿器科 助教 |
平成13年4月 | 県立延岡病院 副医長 |
平成14年4月 | 同 泌尿器科 科長 |
平成15年4月 | 藤元総合病院泌尿器科 部長 |
平成26年4月 | 田中隆内科 副院長 |
平成27年4月 | 宮崎市 竹迫医院 院長 |
平成29年9月 | 田中隆内科 副院長 |
■ 資格・認定医
- 日本泌尿器科学会 専門医
- 日本がん治療学会 がん治療認定医
■ 所属学会
- 日本泌尿器科学会
- 西日本泌尿器科学会
- 日本がん治療学会
- 日本透析医学会
泌尿器科の病気
泌尿器科は、体の中で不要になった老廃物を体の外に尿として排泄する腎臓、尿管、膀胱、尿道と、男性器である前立腺や精巣(睾丸)、陰嚢(いんのう)などを専門的に診る診療科です。
臓器別疾患名
1. 腎臓
腎臓結石 じんぞうけっせき
腎臓の中に石ができる病気です。背中や腰の痛みや血尿で見つかることもありますが、無症状のこともあります。
症状
無症状の場合が多い。血尿、濃尿、背中や腰の痛みなど。
検査
尿検査、レントゲン検査やエコー(超音波)検査、CT検査などで診断します。
治療
6ミリ以下の結石は自然に出ることもあります。この場合、内服にて外来で自然排石を待ちます。場合によっては、大きさにかかわらず、内視鏡手術や、対外衝撃破砕術(ESWL)などの手術が必要なこともあります。
腎盂腎炎 じんうじんえん
腎臓でできた尿が最初にたまる腎盂という部分に炎症が起こり高熱が出ます。膀胱炎の悪化や、前立腺肥大症、尿路結石が原因となる場合もあります。
症状
高熱、腰の痛みや背中、下腹部の痛み、全身倦怠感など。
検査
尿検査、採血、レントゲン検査やエコー検査、場合によってCT検査が必要となります。
治療
抗生剤の点滴治療が必要です。場合によっては命にかかわることがあり、入院が必要な場合も多々あります。
腎臓がん じんぞうがん
腎臓の実質(尿をつくる部位)にできる癌のことです。
症状
進行した腎臓がんの場合は腰・背部痛、血尿などで見つかる場合もありますが、早期の場合は、無症状の場合がほとんどです。
検査
尿検査やエコー検査、CT検査が必要です。
治療
腹腔鏡(ラパロ)、または開腹による摘除術が必要です。
腎盂がん じんうがん
腎臓の中の最初に尿がたまる腎盂という部分にできる癌のことです。
症状
血尿、腰から背中にかけての痛みなど。無症状な場合も多い。
検査
尿検査、尿細胞診、レントゲン検査、エコー検査やCT検査が必要です。場合によっては尿管鏡という腎盂や尿管を直接観察する検査が必要です。
治療
腎臓と尿管と膀胱の一部をとる手術が必要です。
2. 尿管
尿管結石 にょうかんけっせき
尿管に小さな結石がつまって、軽度の腰痛や時として激痛に襲われます。その痛みはかなり強く、疝痛という言葉で表現され、しばしば救急搬送される場合もあります。
症状
血尿、腰や背中、下腹部の痛み、時として激痛。
検査
尿検査、レントゲン検査、エコー検査や場合によりCT検査が必要です。
治療
6ミリ以下の結石は自然に排石される場合がほとんどです。場合によっては、内視鏡手術、対外衝撃破砕術(ESWL)などの手術が必要になる場合があります。
尿管がん にょうかんがん
腎臓と膀胱をつないでいる管の中にできる癌です。
症状
無症状なことがほとんどですが、進行すると、血尿や腰・背部痛を認める場合もあります。
検査
尿検査、レントゲン検査、エコー検査、尿細胞診、CT検査など。必要に応じて尿管鏡検査
治療
腎臓と尿管、膀胱の一部を摘除する手術が必要です。
3. 膀胱
過活動膀胱 かかつどうぼうこう
急に尿意を感じて、おしっこを我慢することが辛くなり、時々おしっこを漏らしたり(尿失禁)、夜間や昼間の頻尿の原因となります。
特に女性では、その症状が出やすい傾向にあり、女性泌尿器科の代表的な病気です。
症状
「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状が見られます。
検査
尿検査、過活動膀胱質問票、パットテスト(尿漏れの量を測る)、エコー検査など
治療
ほとんどの場合、外来でのお薬による治療で症状が改善します。内服薬はいくつも種類がありますので、ご本人に合ったお薬を相談しながら探していきます。
骨盤底筋体操などを組み合わせるとより一層効果的です。
膀胱結石 ぼうこうけっせき
膀胱の中に大小さまざまな石ができる病気です。
症状
血尿、尿の濁り、繰り返す膀胱炎、無症状の場合もあります。
検査
尿検査、レントゲン検査、エコー検査など
治療
経尿道的または開腹手術による結石の除去
膀胱炎 ぼうこうえん
尿が感染を起こしている状態です。
症状
排尿時痛、残尿感、下腹部の違和感や痛みなど。通常熱は出ませんが、熱が出た場合は腎盂炎の可能性もあり早急に病院受診が必要です。
検査
尿検査、必要に応じてレントゲン検査やエコー検査など
治療
抗生剤の内服治療
間質性膀胱炎 かんしつせいぼうこうえん
通常の膀胱炎と異なり抗生剤は、ほとんど無効で、下腹部の違和感や痛みなどの自覚症状が持続します。
症状
血尿や尿の混濁、下腹部の違和感や痛み、排尿時痛、膀胱充満時の痛みなど
検査
尿検査、レントゲン検査、エコー検査、膀胱鏡、膀胱水圧拡張術など
治療
膀胱水圧拡張術 麻酔下に膀胱内に生理食塩水を注入して拡張し拡張した後の膀胱粘膜の変化を観察します。膀胱内に点状出血など特徴的な粘膜変化が出現したら間質性膀胱炎と診断され、この拡張術が症状の軽減につながることもあります。
膀胱尿管逆流症 ぼうこうにょうかんぎゃくりゅうしょう
膀胱の尿が腎臓に逆流し腰の痛みや、突然の高熱がでることがあります。幼小児期に見つかる場合が多いですが、発見が遅れると腎機能障害を起こす場合があります。
症状
腰から背中の痛み、突然の高熱
検査
尿検査、膀胱造影検査、エコー検査など
治療
尿管膀胱逆流防止術
膀胱がん ぼうこうがん
膀胱の中にできる癌です。
症状
血尿で見つかる場合がほとんどです。特におしっこが赤い、血尿かもという自覚がある場合は必ず泌尿器科を受診してください。
検査
尿検査、尿細胞診、膀胱鏡、エコー検査、CTなど
治療
腫瘍が小さい場合は、尿道から内視鏡で切除できます。進行がんの場合は膀胱を摘除する手術が必要となります。
神経因性膀胱 しんけいいんせいぼうこう
脳梗塞や脊椎に病気がある場合に尿を貯めたり、出したりが上手くいかなくなる病態です。
症状
排尿が上手くいかない、尿が漏れる、尿が汚れているなど。
検査
尿検査、エコー検査、レントゲン検査など
治療
尿を出やすくするお薬や、場合によっては自己導尿という自分で特殊な器材を使って尿を採る必要がある場合もあります。
4. 前立腺・尿道
前立腺肥大症 ぜんりつせんひだいしょう
前立腺は男性だけの臓器です。男性の精液の一部である前立腺液を造る臓器です。尿道を360度取り囲んでいる臓器で、年齢とともに大きくなり、尿の通り道をふさいでいきます。その結果、尿が出にくい、尿の回数が多い、夜に何度もトイレに行く、我慢できずに漏らしてしまうなどの症状が出てきます。
症状
尿の回数が多い、夜トイレに何度も行く、尿が出にくい、時々尿を漏らすことがあるなど
検査
尿検査、エコー検査、レントゲン検査など
治療
お薬による治療が中心となります。重症の場合手術が必要になる場合もありますが、ほとんどの場合、内服治療で症状が改善されます。
急性前立腺炎 きゅうせいぜんりつせんえん
前立腺に細菌による感染がおこり排尿時痛などの尿路症状や、高熱、全身倦怠感などの症状が出ます。
症状
おしっこをしたとき痛みがある、残尿感、会陰部(肛門の周り)に違和感や痛みがある、高熱とそれに伴う全身倦怠感など
検査
尿検査、触診、エコー検査、採血など
治療
抗生剤の内服あるいは点滴治療
慢性前立腺炎 まんせいぜんりつせんえん
前立腺に無菌性の炎症が起こり、排尿時痛や頻尿、残尿感などの尿路症状や、下腹部や会陰部(肛門の周囲)の鈍痛や違和感などの症状が現れます。飲酒やストレス、長時間座るなどで症状の悪化が見られます。
症状
排尿時痛、残尿感、下腹部や会陰部の違和感
検査
尿検査、触診(診察)、エコー検査、血液検査など
治療
長時間の座位を避ける、アルコールを控える、ストレスをためないなどの行動療法とお薬による治療
前立腺がん ぜんりつせんがん
前立腺にできる癌です。男性のがんの中では今後一番多くなるといわれていますが、早期発見で完治ができる癌でもあります。進行がんでも色々な効果的なお薬があり、治療の選択肢の多い癌です。
症状
無症状の場合がほとんどですが、前立腺肥大症を伴う場合は肥大症の症状である、尿が出にくい、残尿感、昼間や夜間の頻尿を伴うことがあります。前立腺がんは骨に転移しやすく、腰椎に転移し腰痛などで発見される場合もあります。
検査
採血によるPSА検査(前立腺がん特異抗原)で早期発見が可能な癌です。PSАが4を超えた場合、がんの可能性があり、前立腺の針生検が必要かどうかご相談の上、判断いたします。
治療
腹腔鏡、ロボット手術、開腹手術などで前立腺を摘除する方法や、放射線、小線源治療、重粒子線など、切らない治療があります。場合によっては、ホルモン療法という外来での注射を使った治療など、治療法はいろいろありますので、患者さんと話し合いのうえ、患者さんのご希望に近い治療法を一緒に決めていきます。
5. 陰のう 精巣 ペニス 尿道
陰嚢水腫 いんのうすいしゅ
陰のうに水がたまる病気です。大きくなると日常生活に支障をきたします。
症状
徐々に陰嚢が腫れてきます。鈍痛を伴う場合もありますがほとんど無症状です。大きくなると生活に支障をきたします。
検査
診察、エコー検査
治療
外来でたまった水を注射器で抜き取ります。何度も再発する場合は手術が必要な場合もあります。
精巣静脈瘤 せいそうじょうみゃくりゅう
精巣を栄養している動静脈や精管を包む膜に水がたまる病気です。男性不妊症の一因になると言われています。
症状
下腹部の重い感じ、鈍痛。無症状の場合も多く、男性不妊症の検査の過程で見つかる場合も多いです。
検査
尿検査、エコー検査など
治療
精巣静脈瘤結紮術という手術があります。
精巣炎 せいそうえん
精巣に炎症が起こる疾患です。精巣の腫大、高熱、精巣や下腹部の痛みなど。男性不妊症の原因になることがあります。
症状
精巣の痛みや腫れ、高熱など
検査
診察、採血、尿検査、エコー検査など
治療
抗生剤の内服や点滴治療、精巣を冷やす、安静など
精巣上体炎 せいそうじょうたいえん
精巣上体に炎症が起こります。細菌性や、おたふくかぜによるウイルス性の場合もあります。いずれも高熱やそれに伴う痛み、全身倦怠感などの症状が現れます。男性不妊症の原因にもなる場合があります。
症状
精巣の痛みや腫れ、高熱など、精巣炎と同じ症状です。
検査
尿検査、採血、エコー検査など
治療
抗生剤の内服や点滴治療、安静、精巣を軽く冷やすなど。
精巣がん せいそうがん
精巣にがんができます。痛みなどの症状を伴わない場合が多く、精巣が腫れて受診される場合が多いです。他の臓器に転移して見つかる場合もあります。
症状
精巣の無痛性の腫大(腫れ)、通常痛みなどの症状を伴いません
検査
尿検査、採血(精巣腫瘍特有の腫瘍マーカーの検査)、エコー検査、CT検査など
治療
精巣摘除術、必要に応じて抗がん剤の投与など
包茎 ほうけい
日本人の7割は仮性包茎という包茎といわれています。仮性包茎は、包皮を自分でむけば亀頭が見えますが、真性包茎の場合は亀頭を出すことができず、従って恥垢という汚れや細菌の巣ができて陰茎がんの原因にもなり得ます。悪臭の原因にもなります。
症状
真性包茎の場合、亀頭が完全に皮で包まれているため、おしっこが上手くできません。汚れがたまりやすく、陰茎がんの原因にもなります。場合によっては腎後性腎不全という腎機能に重大な障害を与える場合があります。仮性包茎の場合、入浴時に包皮をむいてしっかり洗わないと、亀頭包皮炎や、悪臭、まれに陰茎がんの原因にもなります。
検査
尿検査、診察、エコー検査など
治療
真性包茎の場合、手術による包皮の切除が必要です。仮性の場合は狭窄があり勃起時に痛みがある場合などは手術が必要です。見た目が気になるなど、ご本人の希望があれば手術も可能ですが基本的には手術の必要性はありません。
亀頭包皮炎 きとうほうひえん
ペニス(おちんちん)を包む皮に炎症が起こり赤く腫れあがります。
症状
ペニスの発赤、腫れ、痛み、排尿時痛
検査
尿検査、診察
治療
ほとんどの場合、抗生剤入りのステロイドの軟膏を塗って入浴時によく洗うようにすれば軽快します。真性包茎の場合は、おおいかぶさっている包皮をむくあるいは切除する必要がある場合もあります。
尿道炎 にょうどうえん
主に性行為により感染します。潜伏期間は性行為後3-7日です。
症状
尿道から膿(うみ)が出る、悪臭がする、排尿時痛、残尿感、下腹部痛、会陰部不快感など
検査
尿検査、淋菌・クラミジアPCR(尿の特殊検査です)、問診など
治療
抗生剤の投与。しっかりとした診断をしないと、適切な抗生剤を投与できず悪化する場合がありますので、必ず医師の診察を受けてください。
そのほか
その他
夜尿症(おねしょ)
夜尿症は、ほとんどの場合、小学校に入る頃にはなくなりますが、個人差があり、中には中学生、高校生でも夜尿症が治らないこともあります。修学旅行や、部活の合宿など自宅以外で寝る機会があるときに、はじめて相談に来られる親御さんもいらっしゃいます。気になる方はご相談ください。
骨盤臓器脱
聞きなれない言葉だと思いますが、骨盤内臓器である膀胱や子宮などが膣から出てくる女性特有の病気です。最初は自分の手で戻せますが、症状が悪化する場合がありますのでご相談ください。排尿困難や、尿失禁の原因になります。
ED (勃起不全症)
加齢、心因性、糖尿病などが原因で起こる病気です。原因を調べながら主にお薬による治療となります。自費診療となります。
男性更年期障害(LОH症候群)
男性ホルモンの低下に伴って、体に生じる症状・病態を、加齢男性性腺機能低下症候群(LОH症候群)と定義し、その中に男性更年期障害も含まれ、日本では一般的に頻用されています。
男性ホルモンであるテストステロンが、低下すると、不安やいら立ち、神経過敏、抑うつ、精神的疲労などの精神・心理症状や、体調不良、発汗ほてり、睡眠障害、肉体的疲労や性欲低下などの身体症状、性機能症状がみられます。
主に、50歳以上の男性で以上のような症状が現れた場合はLОH症候群の可能性があります。その場合、各々の更年期症状(АМS)を問診で伺い、点数化し、さらにテストステロン値を測定し、その両方の結果をもとに診断します。必要に応じアンドロゲン補充療法などで治療します。